看護・介護セミナー情報　関西看護出版 | 日記 | 3月8日（土）に相原由花先生にお会いしました

5月11日（日）、神戸で行われる「終末期における臨床アロマセラピーの理論と実践」の講師、相原由花先生の学校を訪問しました。
学んでおられたのは、ほとんどが看護師の方です。皆さんとても熱心で、玄関を開けた時からアロマの香りでウットリ、気持ち良くなりました。
先生の講義はエネルギッシュでした。とてもお美しい先生でした。目の奥に溢れる情熱を見ました。
先生の著書「香りとタッチングで患者を癒す・臨床アロマセラピストになる・命のそばで寄り添うケアリングとは」の中の言葉を少しだけ紹介します。

●「患者さんの回復は、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師、栄養士との連携の賜です。その中で臨床アロマセラピストは『泣ける場所』をつくり、『不安からの解放』を手伝い、もう一度生きようと思ってもらえるよう『支え』になることが仕事なのです」～

●クライアントのナラティブを受け止める
永遠に変わらない人なんていません。

クライアントも同じように、人生の中で出会った人たちや出来事によってどんどんストーリーが変化していきます。そして今、「病い」を患ったという大きな出来事によって、さまざまな苦しみや恐怖を経験し、同時にたくさんの人と関わり、支えられながら、また大きく人生のストーリーを書き換えようとしているのです。

臨床現場では、辛い治療や日常とは違う環境の中で生活するストレス、死の恐怖や障害を持ちながら生活することへの不安などを抱えた心細い気持ちの方がたくさんいらっしゃいます。またそのような患者さんを支える家族の苦悩があります。私たち臨床アロマセラピストは、そんなクライアントや家族の一人ひとりの心と体を支えながら、クライアントが苦しみを乗り越え、人生のストーリーを書き変えていく過程を見守っていきます。

よい香りの中で心と体が解き放たれる瞬間を味わうアロマセラピーは、語りやすい環境や心身の状態をつくることができるため、私たちアロマセラピストは物語を聞き届ける人としての重要な役割を担う場面によく出会います。

コンサルテーションや施術のあとに垣間見るストーリーによって、クライアントにはいろいろな人生があるということ、またどの方も一生懸命生きていて、語られる人生にも意味があると尊敬の念をもって接することを大切にして臨んでほしいのです。

●「おわりに」　から

私は人を気遣うことこそ、ケアの原点だと考えています。アロマセラピーを必要としてくださるクライアントのために、私たちの職業はあります。つまり私たちは人をいたわり、アロマセラピーを通してケアをすることで、「自分の存在価値」が生まれるのです。自分以外の人をケアすることを通して、人の役に立つとこによって、私たち自身は生きることの真の意味を感じていきます。私たちはアロマセラピーを通して、クライアントと深い関わりを持ち、その過程において感じ、考え、学び、そしてその中で"自分"というものを見つけ、成長していくことができるのだと思うのです。

●患者さんが残された思いを書いて～
「いろいろな経過を経て、彦根市立病院の緩和ケア病棟にお世話になっている。
その中で私はボランティアスタッフの代替医療で不思議な体験をした。
入院をして3,4日間は、微熱も下がらず、倦怠感が強く、不機嫌であった。
ところが音瀬さんというアロマセラピストが訪れて、私にアロママッサージをしてくれた。
びっくりしたことに約1時間に渡るケアによって、体がうんと軽くなり、熱もひいたような感じを覚えた。実際、体温は平熱に戻り、以後1ケ月間、熱が上がることはなかった。
私はこのような体験から、これからの医学がコンピューターを駆使した最新技術のみを追求するのではなく、もう一つの側面、それは古い時代から人間社会が取り入れてきた「癒しの技術」「気」の部分を実際の診療の場に、是非とり入れて貰いたいと願っている。もちろんこれらの方法が治癒不可能な疾患をすべて解決するというのではない。
ただ、1分1秒の生命の延長にすべてをかけ、終には敗北するというみじめな最後よりも、できるだけの救命処置を行ってもその予後の見通しのない人達に死への支援をしてあげることの意義を考えたいと思うのである。」


※最後の部分は多くの生と死を見てこられた元彦根医師会会長、岡田彰先生医師としての最後の言葉なので、この本を読んで最も心に残ったところです。5月11日は多くの方が研修会に来られると思います。すでにお申し込みは20名を越えています。